クレートトレーニングのやり方・方法。分離不安に悩まされているペットと飼い主さんへ
分離不安のひどいわんちゃんにとって、クレートがあることは大きな安心感に繋がります。クレートトレーニングの正しいやり方・方法で躾けてくれる飼い主さんはとてもありがたい存在です。
でも、やはり始めはすんなりとクレートに入ってくれません。今回は、わたしが実際に行ったクレートトレーニングのやり方・方法をシェアします。
分離不安については、こちら。
クレートトレーニングとは。
クレートとは、上の写真の左側のもののことです。一般に、室内で犬を飼う時によく使われる柵で囲われているゲージ(写真右)ではなく、ボックス型で扉がついているもののことです。
よく動物病院の待合室で、猫ちゃんが入れられているのを見かけます。
クレートトレーニングとは、飼い主の指示を聞いて、そのクレートの中にすんなり入ってくれるようしつけることを指します。
「クレートトレーニングはかわいそうじゃない」。
クレートに入れることは、一見すると「狭くてかわいそう」と思いがちですが、本来、犬は穴ぐらなどの狭くて暗いところを寝ぐらにしていたので、クレートは、唯一安心できる自分の居場所になります。
そう考えると、むしろクレートを用意せず、クレートトレーニングを行わないことが、かわいそうなことです。
安心できる居場所を用意してもらえず、24時間365日ずっと緊張状態に置かれているのは、犬にとってとてもストレスになります。
クレートトレーニングに慣れない間は、マルも、クレートの中できゅんきゅん鳴いたり吠えたりしていました。ついつい「かわいそう」と思ってしまっていましたが、「安心できる居場所を用意してあげているんだ。」と自分に何度も言い聞かせていました。
クレートトレーニングのやり方・方法。
試行錯誤をしたり、ドッグトレーナーの方に教えてもらいながら、わたしが実際に行ったクレートトレーニングのやり方・方法をシェアします。
それぞれのステップの横に、クレート購入後何日間で行うべきか目安を書いています。
わんちゃんの適正や性格に合わせて、日にちを前倒し・後ろ倒ししてください。
Step1.クレートを選ぶ。
まず、ペットにあったクレートを選びます。
クレートの中で、犬が立ち上がって方向転換できるものが目安となります。
我が家が使っているのがこちら。
車で出かける時など、シートベルトをかける所も付いており使い勝手が良いのでおすすめです。
Step2.クレートに慣れさせる。(クレート購入後1〜3日)
クレートを買ってきたら、ペットのお気に入りのスペースに置いて、慣れさせておきます。普段よく使っているクッションやおもちゃを中に入れてしまってもいいです。
Step3.クレートに自主的に入ることを覚えさせる。(クレート購入後1週間)
無理矢理するのは厳禁です。
クレートに自主的に入ることを覚えさせなければなりません。
「お気に入りのクッションを入れていたら、自然と入って寝ていた」というわんちゃんも中にはいるようですが、繊細で臆病なマルは中々クレートに入ってくれませんでした。
マルはおやつの時の、「おすわり・ふせ・まて」をすでに覚えていたので、これを応用することにしました。
- わんちゃんにおやつを見せる。
- 「おすわり・ふせ・まて」の指示を出す。関心や注意が途切れないように、まずここで一欠片与えておいてもいいです。
- おやつをクレートの中に入れ、扉を閉じる。始めの内は、おやつをクレートの入り口近くに置きます。
- もう一度「まて」の指示を出す。
- クレートの扉を開き、「よし」の指示を出す。
- わんちゃんがクレートの中に入るタイミングで、何度も「ハウス」と連呼する。「ハウス=クレートの中に入ること」と覚えてくれます。
この1から6までの流れを一日に数回を数セットに分けて行います。
少しずつ少しずつ、おやつの位置をクレートの奥の方に移動させていきます。
「おやつはクレートで食べるもの」と思わせるように、クレートトレーニングをしている時期はそれ以外でおやつを与えることを極力控えておきます。
Step4.クレートの扉が閉まっても、またすぐ開けてもらえることを覚えさせる。(クレート購入後1〜2週間)
今度はクレートの扉を閉める練習を行います。
分離不安は、「飼い主にもう二度と会えないんじゃないか」「自分を守ってくれる存在がいなくなった」という気持ちが原因です。
クレートの扉が閉まっても、またすぐ飼い主に再会できることを体験させます。
おやつのレッスンに慣れてきたら、おやつを食べている間に数秒だけ扉を閉めてみます。
クレートの奥のおやつを食べ、方向転換するまでのほんの数秒で構いません。
トラウマにならないように、始めは扉をカチャと閉めないでおきます。わんちゃんが手で押せば開けられるぐらいの半開きにしておきます。
そして、わんちゃんが出てきたら、「ハウスしたの?えらいねぇ〜!」と「ハウス」を強調しながら褒めます。「ハウス=褒めてもらえること」と覚え始めます。
これも一朝一夕にはいきませんので、ゆっくり時間をかけながら、扉を閉める時間を長くしていきます。
抵抗がなくなってくれば、扉を本当にカチャと閉めてみます。
散歩から帰ってきた後など、少し疲れていそうなタイミングを見計らって、長めに扉を閉めておくこともできます。
トラウマにならないように、本当に短い時間から始めるのがポイントです。
Step5.クレートに入ると、いいことがあると覚えさせる。(クレート購入後2〜4週間)
1.「クレートに入ると、おやつをもらえる」。
ここまでしていると、もうすでに「おやつはクレートの中でもらえるもの」という意識が身についています。
さらに、この意識を強めたいので、おやつを見せながら、「ハウス」の号令をかけるレッスンに移ります。すると、ハウスに入ってくれるようになります。
これを、何度も繰り返します。
2.「クレートに入ると、ご飯が出てくる」。
ご飯もクレートの中で与えるようにします。
「ハウス」の号令でクレートに入るようになっていると思うので、ご飯の前には必ず指示を出します。
マルは、一度クレートに入っても、ご飯の準備が気になり、よく出てきてしまっていました。
その時は、ご飯の準備の手を止め、もう一度「ハウス」の指示を出します。クレートに入ったら、「まて」の指示を出して、ご飯が来るまでの間、クレートの中でいさせるようにします。
何回も繰り返すと、次第にクレートの中で過ごすことに慣れていきます。
3.「クレートに入ると、散歩に連れて行ってもらえる」。
わんちゃんは基本的にみんなお出かけが好きです。お散歩は大好きなものです。
家の周りの散歩ではなく、できれば、車に乗せて近くの公園にお散歩に行くようにします。
この時、「ハウス」の指示を出して、クレートに入れてから、お出かけします。
「クレートに入ると、とにかくいいことがある」ことを体験させます。
Step6.クレートに入れて添い寝を経験させる。(クレート購入後4〜5週間)
クレートに入ることにほとんど抵抗がなくなってきている頃です。
一晩中クレートに入れて寝させてみます。
「ハウス」の指示を出し、クレートにわんちゃんが入れば、クレートにタオルやブランケットをかぶせます。
マルは、かなり抵抗して、数時間キュンキュン鳴いていました。
初めの内は、飼い主の気配を感じられるように、添い寝します。
マルが寝付くまでの数時間は特に、タオルの近くに頭を寄せて飼い主の息遣いを聞かせておきました。
そうすると、次第に数時間が1時間、30分と短くなっていきました。
Step7.寝室を分け、クレートに入れて一晩中寝させる。(クレート購入後5〜6週間)
添い寝ができるようになれば、できるだけ早めにわんちゃんとの寝室を分けます。
これまでは、極力ゆっくりゆっくり段階を踏んできたのですが、添い寝が始まってからは、1週間以内で寝室を分けるようにします。
これはドッグトレーナーの方に教えてもらったのですが、添い寝に慣れてしまうと、飼い主が添い寝していないことに対して、また分離不安がでるようになるからです。
あくまで「添い寝」は、ひとつの段階にすぎない、ということです。
寝室を分ける始めの内は、マルを夜早めにクレートに入れて、クレートの置いてあるリビングでしばらく夫婦で過ごしていました。
気配を感じられるので、しばらくするとマルが寝始めます。寝息を確認してから、静かに、そろ〜りと寝室に移っていました。
これを何度か繰り返していくと、「クレートの中で半日飼い主さんと離れていても、また朝になれば再会できる」とわんちゃんが理解できるようになります。
Step8.日常のいろいろな場面でクレートに入れる。(クレート購入後6週間〜ずっと)
ここまでくると、ほぼクレートトレーニングは終了に近いです。日常のいろいろな場面でクレートに入れます。
例えば、「料理中」「入浴中」「お留守番中」「お昼寝中」などです。日中は30分程度でもいいので、クレートに入れます。
寝る時も、必ず寝室は分けて、わんちゃんはクレートで寝させるように習慣づけます。マルと一緒にベッドで寝るのが憧れだったのですが、マルのためにもずっとクレートで寝させています。
日常いろいろな場面でクレートに入れることを、わんちゃんの生涯中ずっと続けていきます
ドッグトレーナーさん曰く、「犬の行動を律してあげること」「遊ぶ時、寝る時、クレートに入る時、散歩の時とメリハリのある生活をさせてあげること」がとても大切なんだそうです。
いつも飼い主が主導権を取り、わんちゃんが信頼できるリーダーになることが大切だそうです。
クレートトレーニングを行う時のポイント。
- 「クレートトレーニングは犬のためになる」ことを忘れない。
- どんなに吠えられても鳴かれても、諦めない。
- 「犬には信頼できるリーダーが必要だ」ということを覚えておく。
- クレートトレーニングがトラウマにならないよう、ゆっくり褒めながら行う。
- クレートトレーニング後半は、その段階に慣れない内に次のステップに移る。
こちらの記事で分離不安のわんちゃんにクレートトレーニングを行う時のポイントをもう少し詳しくまとめています。
クレートトレーニングを習得してよかったこと。
- 車でお出かけの時にクレートに入れておくと安全。(運転する側もマル自身も落ち着いている。)
- 動物病院やトリミングに連れて行く時も、安心。(相性の悪いわんちゃんや猫ちゃんとも喧嘩にならない。)
- ペットが良質な睡眠を取れる。(神経質なマルがクレートの中だと物音がしても起きない。)
- ペットとの主従関係がしっかり築ける。
クレートトレーニングをしてから、他のしつけもかなり入りやすくなりました。
よい主従関係の元になっているんだと思います。
また、吠えグセもかなりの程度解消されました。良質な睡眠を取れないことで、マルの神経がかなり尖っていたんじゃないかと思います。
クレートに入って、マルが良い睡眠を取れるようになり、本当に良かったです。
コメント4件
[…] […]
STEP5までは順調なのですが
STEP6が出来ません。
どんなに泣いても無視してましたか?
[…] […]