Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)[西海市]パフェも和もフレンチも、フルコースを身近に。
長崎県西海市に昨年(2023年)誕生し、口コミでにわかに人気をあつめるお店〈Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)〉。
「和とフレンチのフルコースが食べられる」「カフェ営業ではゴージャスなパフェが?」などの気になる情報に「早く行ってみたーい!」とうずうずしている方も多いのでは。
近場ということもあり、Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)で何度か食事済みのことぐらし。撮りためた分があるので、ランチ・カフェ・ディナーがどんな内容か、どんな店内の雰囲気なのかご紹介しますね。
※ 情報はすべて取材時のものです。
フルコースもパフェもいただける Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)
場所は長崎県西海市。国道206号線沿いにある生長の家・大鳥居の横に、どっしりとたたずむ大屋根の日本家屋。もともと30年以上つづく蕎麦屋だった建物を使用しています。
幹線道路沿いでありながらも間口が道路に対し斜めになっているため、どこかひっそりとした印象。重厚感のある自動ドアを抜け、さっそく店内へ。
店内はフロアタイルに、間接照明の落ちるグレーのコンクリート調テーブル。スクリーンでは大自然の映像が。
いたる所にドライフラワーやツル、グリーンが飾られていて、ヴィンテージ、モダン、アーバンジャングルとさまざまなテイストが不思議と混然とした一体感を生みだしています。
天井に吊るされているのは、なんとセイタカアワダチソウのドライ。びっくりしてオーナーさんにお伺いすると、なんとオーナー自ら野で(野で!)採取したものだそう。まさかこんなに華々しく飾られるなんて、セイタカアワダチソウ気分で思わず感無量。
テーブル横には坪庭もあり、店内からまた二歩も三歩もすすんだ異種混合具合。国や年代を問わない古物とグリーン、ドライ、ツルが絶妙なバランスで配置され、ぼーっと眺めていると、まるで一本のドラマチックな映画を見ている気分に。
うん、飽きない。(なので、店内は席いろいろありますが、ことぐらしはこの坪庭横がおすすめです!)
〈Ketchのランチ〉お手軽なプチ贅沢を。和 or フレンチのランチコース
さっそくランチメニューをいただきましょう。ランチは、和食(ランチ御膳)とフレンチ(ミニコース)が週ごとに入れ替わります。
この日は和食ランチ御膳。仕入れや季節によって内容異なりますが、訪問時のメニューは以下の通り。
- 新緑の冷製茶碗蒸し 大島トマトと貝柱 出汁ジュレ
- 近海鮮魚お造里盛り合わせ 鮪 伊佐木 鯵 水烏賊
- 大村湾牡蠣とマテ貝磯辺揚げ レモンと対馬藻塩で
- 地蛸 セロリ はっさく 酢味噌和え
- 長崎和牛スジ煮 季節山菜
- 炊き立てストーブ御飯 自家製辛子漬け
- 浅利とあおさの真丈 潮汁仕立て
- 地苺大福
※ランチに関する注意点がありますので、ご訪問の前にページ下部の段落「Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)について」をご参照ください。
さっそく、和食御膳が運ばれてきました。彩り豊かな御膳を前に、ぱあっと心が晴れやかに。
まず、冷製茶碗蒸しから。菜の花やはなはじき(長崎の呼び名で高菜の花芽のこと)を使用した、鮮やかな緑色が春を呼ぶ一品。とろり柔らかな舌触りの茶碗蒸しと、トマトや貝柱の食感が楽しい。
四種の地魚がうつくしく盛られたお造り。しっとりととろける鮪、こりっとした弾力のイサキ、ねっとりとして甘い水イカ、凝縮された香りのアジと、ひとつひとつが主役級です。
マテ貝と牡蠣の磯辺揚げは、磯×磯の華やかな香りが鼻に抜ける一品。あおさの香りが、牡蠣の甘みとミネラル感、マテ貝の濃厚な旨みによく合います!
弾力がありつつも豊かなやわらかさの地蛸、はっさくの酸味、酢味噌のコク深さ、セロリのほろ苦さ。多様な食感・味が互いを引き立て合い、とても爽やかな印象です。
二日かけて煮込むという長崎和牛のスジ煮。やわらかくぷるんと炊き上がった豊潤な脂のうまさに、炊き立ての艶々ご飯が進みます。
浅利とあおさの真丈は、シンプルに潮汁仕立てで。磯の味が滋味深く溶け込み、体じゅうに沁みわたるお出汁にノックアウト。
最後に地苺の苺大福を。お腹も心も、大満足のランチ御膳でした。
〈Ketchのカフェ〉宝石のようなゴージャス・パフェに首ったけ
Atelier Ketch のカフェタイムに提供される季節のフルーツパフェ。
ああ、もう見るだけで美しい。宝石みたいなスイーツなんて手垢のついた表現だけど、やっぱり言わせてください。これはまちがいなく、宝石みたいなパフェ。
ぶどうの色の移ろいと、うつくしい柑橘の層。芸術作品を眺めるように、肘をついてずっと見ていたかったけど、溶けはじめる前に慌ててスプーンを入れます。
カリッと、ザクっと、ジュワッと、トロッと。あまくて、さわやかで、つめたくて、みずみずしくて。いろいろな味と食感が、口の中で踊りはじめる魅惑のパフェ。ぜひ一度。
※カフェタイムについて、ご訪問の前にページ下部の段落「Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)について」をご参照ください。
〈Ketchのディナー〉今日は絶対外したくない、そんな日に。至極のディナーコース
最後に本家本丸・ディナーコースをご紹介。ディナーは金額と内容(和/フレンチ/和洋折衷)を選択可能で、この日は和洋折衷の11,000円(税込)コースをいただきました。
仕入れや季節によって内容は異なりますが、取材時のメニューは以下の通り。
- カリフラワームース 甲殻類のコンソメジュレ 生雲丹
- キクイモとワタリガニのポタージュ 焼きたてバゲット
- 活鮑と車海老姿造里 近海鮮魚盛り合わせ
- 伊勢海老の具足煮 白味噌仕立て
- クエのケール包み マテ貝のクリームソース
- 原口みかんのグラニテ
- 長崎和牛サーロインロティ 季節野菜とジュ
- 地蛸の炊き込みご飯 焼き鱧の小吸物 自家製辛子漬け
- 地場苺×安納芋パフェ
※ディナーについて注意点がありますので、ご訪問の前にページ下部の段落「Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)について」をご参照ください。
生姜のような見た目の根菜・菊芋とワタリガニをつかったポタージュ。土の滋味と海の滋味がかけあわさり、絵も言われぬ深みにクラりとしてしまいます。
和洋折衷コースらしくでてきたのは、お造り。ねっとりとして甘い水イカに、コリコリとしたアワビ、弾力が心地よい車海老、力強いカツオと勢揃いの役者陣に舌鼓。
鮮烈な赤が目を引く、伊勢海老の具足煮。プリッとした食感と、柔らかな火入れ具合、凝縮された旨みがたまらない一皿です。
やわらかな甘みのクエを、マテ貝の濃厚なソースが引き立てる一皿。密度のある締まったクエの身に歯を入れる一瞬がたまらなく贅沢に感じます。
さっぱりとしたグラニテでお口直しをしたら、メインの肉料理が。春らしい萌黄色のプレートが、よりいっそう料理を引き立てています。サーロインのロゼ色が、プレートのカラーと対をなしていてうつくしい。
やわらかくも歯応えのある肉質に、思わず目を閉じ、感覚を研ぎすませる。じっくりと噛み、味わい、飲み込むと、感覚などないはずの臓器も「おいしい!」と声をあげているよう。添えられた蕗の薹の苦味に、春のめざめ、息吹を感じます。
最後に炊き込みご飯・お吸い物と、和のDNAよろこぶ出汁で締めて、デザートへ。いちごと安納芋のパフェは、デザインと遊び心のつまった内容で、層ごとに発見と驚きが。
未知の味との出会いと、ボリュームたっぷりのコース内容で、身も心も大満足です。
気になるAtelier Ketch(アトリエ ケッチ)のオーナー・宮本豪さん
そろそろみなさんも、こんなにすばらしい料理をつくるのってどんな人?と気になってきた頃では。
オーナーの宮本豪さん。長崎市出身。現在36歳。
17歳で料理の道に飛び込み、長崎の日本料理店や大阪のフランス料理店、フランス菓子店で修行を積んだあと、Atelier Ketchをオープンするまでは、大島にあるオリーブベイホテルで料理長を勤めていました。
料理との出会いは幼い頃に遡り、はじまりは父親がフレンチの料理人で、長崎市内のホテルの総料理長をしていたこと。幼ないながら父親の働く職場で、料理をいただくこともあったそうです。
その父親の後押しもあり、若くして料理の道へ進むことを決意。長崎の日本料理店で修行を積むうち、この土地に根づく和華蘭文化の引き出しの多さに驚き、また感銘を受けたのだとか。そこから、和・洋とジャンルに縛られず料理を提供したいと、大阪の星付きのフランス料理店兼パティスリーや宮古島のレストランで経験を重ねました。
和もフレンチもパティスリーも。ジャンル問わず学ぶ宮本さんに「中途半端や」と言う人もいたけれど、宮本さんにはいつもクリアなビジョンが見えていました。折れることも挫けることもなく、料理の道を歩み始めてすぐのころに決めた「自分の店を持つ」という夢をついに昨年(2023年)実現。
「お腹を満たすのは当たり前。心も満たす料理を作りたい」「季節や土地、生産者などストーリー性のある、ここで食べる意味がある料理を」と料理道を極める意思は固く、最近ではケータリングに対応したり、キッチンカーでのイベント出店をこなしたりと、とことん貪欲にチャレンジを続けています。今年(2024年)には、同じ西海市内に、海鮮丼と炉端焼きの店「NICON鮮魚店」をオープン。Atelier Ketch同様、味も盛り付けも一流。だけど、リーズナブルで敷居の高くない店舗は、家族連れや地元の人にも愛されはじめています。
そんな西海市のトレンドをつくる風雲児・宮本さんがつくりあげる繊細でうつくしい料理の数々、ぜひ実際に召し上がってみてくださいね。
Atelier Ketch(アトリエ ケッチ)について
ランチコースについて
営業時間:12:00-14:00(最終入店 13:30)
和食ランチ御膳 | 税込3,300円〜 |
フレンチミニコース | 税込3,500円〜 |
※当日11時までの完全予約制。※和/フレンチは週替わり。
カフェタイムについて
営業時間:土日祝 14:00-16:00(最終入店 15:30)
フルーツパフェ(季節により2-5種類あり) | 税込1,100円〜 |
※ご来店順。予約可
ディナーコースについて
営業時間:18:00-22:00(最終入店 20:00)
フルコース(和/フレンチ/和洋折衷から選択) | 税込5,500円〜 |
税込11,000円〜 | |
税込16,500円〜 |
※前日12時までの完全予約制。
基本情報
生長の家・大鳥居が目印。すこし斜めに入った店舗なので見落とし注意です!
Atelier Ketch
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住所 |
長崎県西海市西彼町喰場郷1335-5-2
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電話番号 |
0959-33-9521(予約はお電話のみ)
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営業時間 | 12:00-22:00(上記を要参照) |
店休日 | 不定休(SNSを要参照) |
SNS | インスタグラム |
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